しあわせのかけら4
2024/08/04
守破離
高校生の時、剣道をしていた。
お面の下には、手ぬぐいを頭に巻く。
この手ぬぐいは、漢文など書いてあるものもあり、当時この手ぬぐいに「守破離」と書かれたものを使っていた。
同級生達は工夫を凝らした洒落た手ぬぐいを使用していた。
3文字の漢字だけの表記には、味気なく思い、仕方なく使っていた。
そもそも、その言葉の意味する事には頓着していなかった。
就職して、この守破離にどこかで、見聞きした事があった。
「守」は師の教え、基礎を徹底的に覚え、叩き込む。
「破」はその教えに捕らわれず、更に良いものを取り入れる。
「離」基礎や流派から離れ、独自のものを生み出す。
技術は、大半この「守破離」があると思う。
技術には徹底的な、ルール、基礎知識、プロセスが必要であり、最初から独自なものはない。
現場でも、職人と話していると、会話もストレートで含みは一切なく、遠慮や配慮などの慮ったものはなく、帰結した答えだけを発言してくる。
こっちの考えより、先に自分の意見をぶつけてくる。
言い分を聞く意味では、非常に有意義である。
同時に、自分の意見ばかりを常に優先する者に、シンパシーは最小限となる。
技術者は、ストレートな思考の固まりで、完結で最短の手段と労力を求めてくる。
効率面や解決策でいえば、重要な要素であり、落とせない考え方だ。
技術同志の対人関係であれば、ストレート同志で、意見の交換又は、闘争にて、最短の成果を出す。
社会の大半は、技術者の思考回路のそれではないので、迷いもあり、紆余曲折する。
更に反対意見も調整し相談、談合、多数決などで、一定の理解と決定が下される。
職人思考の男性の、奥様は大変だ。
家庭内での相談や夫婦間の呼吸以前に、ご主人には、簡素な答えを持っている。
男性には、この思考回路が基本的にプログラムされている場合が多い。
一方、伴侶の奥様などは、問題や迷い事など、会話を通して同調し、理解する。
女性は共感で同調性を深め、相手の存在性を確かめている。
その一連の夫婦間のコミュニケーションが日々奪われる。
「守破離」には、技術習得過程で、嫌って云うほどの基礎を叩き込まれ、険しい下積み時代を経験する。
当然、物事の取れえ方や着眼点は、厳しくなる。
答えまで簡素な思考を得られる体質にはなる。
但し、この同調性という意味では、関連性がない分、対人関係を配慮しない可能性も多いにある。
「守破離」で言えば、「守破」の段階ではシビアな視点も備わり、実直な姿勢は備わる。
また、簡素で最短の答えを求める能力も付く。
「離」の段階では、技術思考の終結点である。
がしかし、同時に、協議や人気などの対人思考も求められる段階も「離」の様だ。
「許容」する「含む」「協議し、反対意見を聞く」などは、余剰的要素で、非効率に思えるのだが重要なのだと「離」の段階でないと理解できにくいと思う。