建築と林業の関係と林業の実情と課題【その2】

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木になる噺し(ブログ)

国産木材の需要と林業【その2】

2020/04/25

皆様、こんにちは。

もう、コロナも飽きてきましたね。

さて、どうお過ごしでしょうか。

 

今回は、前回に引き続き、林業のお話しです。

 

海外では、この間伐や伐採や枝打ち等の作業の大半を一重機で半自動化している所もあります。

伐採区は、計画的に工区分けを定め、何か年計画されています。

伐採後は植林まで、大がかりなシステムを構築しています。

日本でも、このような取り組みを行っている方ももちろんいます。

しかし、植林規模の違いは日本と桁が違います。

 何千ヘクタールの規模を重機で、枝打ちと伐採、樹皮剥ぎをオートメション化している事では、各段の差があります。

 

こんな話を聞いていますと、さぞ国産材木は高いのではないかと思われるでしょう。

しかし、国産木材は、実際、価格変動はほとんどありません。

国産木材の価格変動

この事から、時代の変化の荒波のなか、林業従事者と材木販売関係者が、

孤軍奮闘している事がわかると思います。

 

 さて、近年の住宅建設コストを参照しますと、あらかた上昇しています。

いずれにしても、実際国産の材木は、もやしや卵と同様に価格優等生といえます。

 

ある工事案件で、お施主様から、

「4連引きの格子状の建具がいい」

と依頼がありました。

障子の作製風景

既製品で、状態の合うものを探しましたが、見つからず、建具を造る事にしました。

もう、建具業者も、絶滅危惧種で、探すのも一苦労しましたが、

実際来た業者は過去違う案件で関わった建具屋さんでした。

 

さてさて、その建具屋さんと図面を挟んで、打合せをしましたが、金額が合いません。

なぜかと言うと、結局、原材料の木材から、建具の框部分(骨の部分)を切り出すのですが、国産の材料の長さが4Mなのです。

国産材の長さは、生真面目なのか、規格寸法通りであり、余剰の長さがありまありません。

 

すると、ドアの高さは昔であれば1.8Mでしたが、現在は人の伸長が伸びたことで、高さは2.2M程度必要となります。

1.8Mの高さであれば、原材料の長さが4Mですので、ちょうど半分で2枚分が切り出せます。

しかし、2.2Mになりますと、4M材では足りなくなります。
 

この事から、海外産の材料を選択する事になるわけです。

海外産は、国産品ほど、品質管理をしていないので、自然な状態からいい材を選ぶ事になります。

そうしますと、海外産でも割高な材料を購入する事になるのです。

 

その点、国産の材料は建具に向いている手入れの行き届いた「いい木材」が豊富であり、

緻密で美しい杢目も珍しくありません。

 

なおかつ、価格が手ごろなのですが、残念な事があります。

 

結局、日本規格品の木材は長さが統一され、余分な材料長さがない事なのです。

海外産は、余長があり「4m材」といっても、「4.5M材」もあるのです。

こんなことで、国産材を使って建具を造ろうにも、結局オーダー材を頼むので、海外産より高くなってしまう事があるのです。

建具は、建具屋さんに製作してもらうと、かなり割高になります。

既製品のドアと比べても、ざっと計算して2倍から7倍くらいします。

 

こんな事で、建具屋さんは、もう後継者不足や需要の減少で、絶滅一歩手前まできています。

せっかく作った建具なのに、割高になれば総工費に響きます。

そうした背景も建具屋さんの絶滅危惧の要因の一部です。

 

さて、林業にもどりますが、この話を林業の方や卸市場の方に話した事があります。

 

「人間の伸長が伸びているのになぜ、材長は伸ばさないのか?」

って質問しました。

すると

「もう需要がないんだよ。無垢材の買手がいないんだ」

っていう回答。

 

もう無垢材を贅沢品に高めているのは、工場生産品に世代交代された要因だけでなく、

林業の方の規制寸法からも拍車をかけているのかと痛感した事があります。

 

「せっかく木材は安いのに、もったいないなぁ」

と寂しく思いました。

 

今日はこの辺で。

ご拝読有難うございました。

 

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