柿渋と相性のいい木と塗り方
2020/03/09
今日は、柿渋についてお話します。
みなさん。こんばんは。
職人バッカの千葉でござます。
今日は、「柿渋」の話をします。
「柿渋」は、渋柿を圧搾したしぼり汁の様なものです。
建築のほかにも、日本文化に浸透していて、染め物の型紙を使用した後に塗ったりします。
ほかにも、衣服の染料として使ったり、和傘やうちわにも使われています。
「タンニン」の成分がが「防虫効果」を生むようです。
匂いは独特で、「うんこ」の様な香りがします。
塗ってるうちに、「ワインの様な香り」に感じるのは、私だげでしょうか。
また、何度も塗り重ねる事で硬貨して撥水性が出るようです。
あまり溶剤の様な、「強力な撥水性能」はありません。
しかし、水は、はじきます
「柿渋」は最近、石鹸やボディーソープに配合したりして、活躍の場所が増えていますね。
柿渋は、建築でも、様々な用途に使われてきました。
しかし、大半の「大工さん」や「塗装屋さん」でも、柿渋の塗り方や薄め方など、取扱い方を知らない方は多くいます。
仕上の部分に柿渋の原液で塗れば、大変な事になります。
柿渋の場合、塗った直後より、時間が経過すると、どんどん色が濃くなります。
最終的には「こげ茶色」になります。
濃くなることを見越して、水で薄めるのです。
単独で柿渋を塗る事より、赤弁柄と水と混ぜて塗る事が多いと思います。
濃くなることを見越して、水で薄めるのです。
単独で柿渋を塗る事より、赤弁柄と水と混ぜて塗る事が多いと思います。
「弁柄」(べんがら)は酸化鉄の粉です。
伝統的な顔料です。
弁柄には、黄弁柄や黒弁柄などあります。
ここでは、「赤色の弁柄」を単に「弁柄」と呼びます。
面倒なので、以後、柿渋と赤弁柄と水を混ぜたものをここでは、「渋弁柄」と呼びます。
直射日光には、柿渋は弱いので、よく日の当たる部分は避けたほうがいいでしょう。
例えば窓の額椽などに塗るのはあんまりお勧めできません。
また、直接仕上となる木材に塗る場合、「樹種との相性」があります。
杉や欅、赤松などは、「渋弁柄」は、高級感がでて、見栄えもばっちりです。
杉は、「杉の赤ぞろえ」といって、西日本などの豪農、豪商などは、赤い杉普請の家を好みました。
また、杉の赤は高級な印象があります。
欅も「赤欅、青欅」といって、「赤を上質」とした文化があります。
しかし、青欅(白っぽい欅で、比較的伐採したての若い材料)なども経年変化でだんだん赤くなります。
強度も硬貨します。
その点ではやっぱり赤材を好んだ点であるといえます。
つまり、赤材が合う木が「渋弁柄」との相性が抜群なのです。
材木に渋弁柄を塗布しますと、光沢がありません。
その為、最後は、光沢のある塗料を塗ると仕上が抜群です。
エゴマ油、亜麻仁油、蜜蝋ワックスなどです。
「渋弁柄」の塗装仕上とする場合ですと、白材を基調とした材木にはあまり、合いません。
「檜やさわら、栃やカエデ」といった白を基調とした材料は、渋弁柄はおすすめできません。
弁柄の赤が浮いた様に見えます。
特に、「檜」の様な、油分の多い材は、弁柄を吸着しにくいので、色むらが出やすいと思います。
大半の柿渋フィニッシュは、水で薄めて使わないと、
とんでもない「こげ茶色」となり、塗りむらも、目立ちます。
壁では、下見板張りの部分には、墨汁又は、ドラム缶に松材を入れて燃やした墨と柿渋と弁柄を混ぜて塗ります。
最後は、ゴマ油を煮詰めて塗ったのが江戸の街のイメージとなった黒い外壁です。
以降「渋墨汁」とでも、呼びましょうか。
改修依頼で、古民家のお家に行きますと、この外壁がオイルステインで塗れれたりしています。
仕事結果を見ると本当にやるせない気持ちになります。
建築用墨汁(一斗缶で販売されたいます)も、柿渋も、弁柄も塗料の材料費は、そんなに高くありません。
結局、塗装業者や工事請負業者が塗り方や材料の知識がないのです。
結果、安易なものになり、結果、「古来からの知恵」や「伝統的継承」を壊してしまうのです。
一度、オイルステインを塗布した外壁材には、「渋墨汁」はもう、施せません。
下見板に居住している方で、「渋墨汁はダメだ」など聞いたことがありません。
ですので、施主意向ではないとすれば、
「提案している業者側に起因した結果」
だとやっぱり思ってしまいます。
既成塗料ばかり塗っている塗装業者の末路です。
さみしいものです。
今日は、この辺で。
ご拝読有難うございました。