リフォームと耐震基準の改正
2020/05/19
皆様こんにちは。
コロナもやっと、少し落ち着いてきた様に思えます。
家にいる時間も長くなりましたね。
今日は、耐震基準と改正についてお話します。
耐震基準は、幾度となく大きな地震を経験して、そのたびに改正がありました。
大きな改正では、昭和56年と平成12年です。
1回目は昭和56年6月にいわゆる新耐震基準が発布され、2回目は、平成12年の柱頭柱脚部の補強等があります。
現在の建物では震度7クラスでも耐えられる基準になっています。
しかし、平成12年以前建物は、現在の耐震基準がなかった為に、技術基準を満たしていない事になります。
また、たとえ平成12年以降に建てた建物でも、耐震の第三者検査があったわけではありません。
現在は、耐震基準を瑕疵保険で検査されています。
これは、平成21年には、瑕疵保険制度が開始されていて、瑕疵保険の検査でも耐震金物のチェックを第三者が判定して合格する事となっています。
その点では、平成21年以降の建物の耐震基準を技術的にも満たしている可能性は非常に高いと言えます。
確実に耐震診断をすべき建物。
まず、「旧耐震建物」の耐震診断の結果です。
これをみますと、約85%の建物が倒壊するデータです。
震度7の地震ではもう、ほとんどの建物が倒壊して大惨事です。
では、次に昭和56年6月~平成12年以前の建物での耐震結果をご覧ください。
ここで言う、昭和56年6月~平成12年以前の建物は、「新耐震基準以上、新・新耐震基準以下」ですので、
いわゆる
「新耐震基準建物」
です。
平成になって、コンクリートの強度が強くなり、鉄筋も豊富に使われるようになりましたがこうしてみますと、「新耐震基準建物」でも、約64%の建物が倒壊する恐れがあるようです。
当然、阪神・淡路大震災(はんしん・あわじだいしんさい)は1995年(平成7年)1月17日に発生した兵庫県南部地震による大災害です。
「新耐震基準」では、大地震に建物が耐えられない結果が判明して、この教訓から、平成12年において「新・新耐震基準」に改正されました。
「新耐震基準と新・新耐震基準」改正で何が変わったか?を少し詳しく見てみましょう。
昭和56年6月(1981年6月)「新耐震基準」
A、壁量規定の見直しが行われた。
B、構造用合板や石膏ボード等の面材を張った壁などが追加された。
C、床面積あたりの必要壁長さや、軸組の種類・倍率が改定された。
D、基礎に鉄筋や、底板が必要となる。
「旧耐震」を要約しますと、築100年古民家で伝統工法でも、工学的根拠がない事になります。
いわゆる「大工の感」で建物ができていると言えます。
平成12年6月(2000年6月)「新・新耐震基準」
A、地耐力に応じて基礎を特定。地盤調査が事実上義務化に。(施行令38条)
・地耐力に応じた基礎構造が規定され、地耐力の調査が事実上義務化となる。
・地耐力20kN未満・・・基礎杭
20~30kN・・・基礎杭またはベタ基礎
30kN以上・・・布基礎も可能
B、構造材とその場所に応じて継手・仕口の仕様を特定。(施行令第47条 告示1460号)
・筋かいの端部と耐力壁の脇の柱頭・柱脚の仕様が明確になる。
・壁倍率の高い壁の端部や出隅などの柱脚ではホールダウン金物が必須になる。
C、耐力壁の配置にバランス計算が必要となる。
(簡易計算、もしくは偏心率計算 (施行令第46条 告示1352号))
・壁配置の簡易計算(四分割法、壁量充足率・壁率比)、もしくは、偏心率の計算が必要となる。
・仕様規定に沿って設計する場合、壁配置の簡易計算を基本とする。
耐震補強個所について
建物は、大きな揺れに対して、壊れる部分が決まっています。
2階より、1階の壁が倒壊します。
1階の壁が2階の加重を負担して、揺れに抵抗します。そのため壊れやすいのです。
また、1階の壁の壊れ方にも特徴があります。
柱頭、柱脚の金物補強
柱の頭である、梁との接続部分の破壊
基礎と土台の接続部分の破壊
これは、壁の形状を残したまた、平行四辺形状に建物が倒れる事です。
つまり、柱の頭と柱の脚部分が骨折する事になります。
この部分を補強すると丈夫な建物になります。
耐力壁量が足りない又は、壁のバランスが悪い
旧耐震では、倍率が圧倒的に低い事や、新耐震の場合、壁の配置バランスが悪い事があります。
この耐力壁の位置を平面図上で、バランスよく配置します。
そうしますと、「重心」と「剛心」が近づけます。
「重心」は建物のおへそです。「剛心」は力の入った部分の中心です。
バランスよくするために、「耐力壁の増強」が必要となるのです。
このように、耐震補強を現行の基準に則り、補強方法を考察していきます。
増築工事の場合、耐震診断は不可欠になります。
また、リフォームの場合、必要、不要であれば、義務はありませんので、構造の変更が伴わない工事であれば、耐震診断は要しません。
しかしできれば、「骨」から健康に留意したいものですね。
では、今日はこの辺で。
ご拝読ありがとうございました。