国産木材の需要と林業【その1】
2020/04/24
コロナ外出禁止状態で、読者の皆様どうお過ごしでしょうか。
当社でも、契約予定の工事案件の見通しがない状態です。
こまったものです。
ガマン。ガマン。
ガマンの先には、ロマンです。
さて、今日は、林業の事を考察したいと思います。
建築には、「材木」は欠かせない材料の一つです。
かつて日本の建築の大半は、「木造」でした。
近年では、鉄筋コンクリート造を始め、鉄骨造、組積造、鉄骨鉄筋コンクリート造など
様々な構造が発生してその主役の地位を、譲り始めました。
しかし、木の加工文化は、世界に誇る最先端の技術と知恵が、日本には受け継がれています。
林業の話ですが、材木業者や、材木卸市場、材木加工業の方とお話しをしていると、
無垢材は、年々需要が落ちている様です。
床の間に使う、「銘木「」と呼ばれる高級木材は、とんと出荷がなくなり、
倉庫に何十年と眠った状態になっているといいます。
材木屋さんに「銘木」を買い付けに行きますと、当時の定価が貼ってあります。
25万の定価を見て、
「安くしてください!」
という以前に
「8万でいいやぁ」
切り出す以前に業者の方が言ってきます。
購入時は定価の半額にも満たない事も珍しくありません。
原材料や仕上の手間など考えますと、もう原価を割っているのです。
それでも売れないそうです。
原因は、住宅メーカーがこぞって、新建材ばかり使う時代となったからだそうです。
新建材は、木質繊維を圧縮材で、表面にフィルムが貼られた材料です。
そうしますと、現場での加工はぐっと減ります。
材料の細断、研磨、塗装までの工程がカットできます。その分のコストも削減できるという事です。
また新建材は、工場生産品ですので、狂いがありません。
そうしますと、建設後のクレームが少ないという寸法です。
需要がなくなった林業屋さんは、、「お払い箱」になるという図式です。
林業屋さんは、お爺さんの代から木を育てた木があります。
出荷できる状態に枝打ちや間引きなどで、森を維持する訳です。
また戦後、資材不足から国策で「杉」、「檜」といった針葉樹を大量に植林しました。
ですが、現在、肝心の買い手がいないのです。
こうして、植林された森はコストや後継者不足などの要因で、放置されます。
まして、この植林された土地が単一の所有者であればよいのですが、
複数の土地所有者がいたりして、地権の関係からややこしい状態となり、ほったらかしの状態も珍しくありません。
これらがおそらく、「杉花粉」の元凶です。
間引きをしない林や森は、人間も含めて生態系にも、悪影響なのです。
林業は、何代にも渡り、手入れされてきました。
当社の近くには、「山武杉」という銘木があります。
この杉は植樹が、徳川吉宗の時代のものだそうです。
美しい黒鉄色で、非常に緻密な杢目で、大木です。
よく乾燥した状態であれば、おどろくほど、「まさかこんなに軽いの?!」というものです。
こんな良質な木も一部の家しか用いられない現代は、
「杉花粉」より、
「社会全体が病的」に思えたりします。
今日は、ここまでとします。
また、次回お話し致します。
ご拝読有難うございました。