在来工法とシステム建築は、どっちが安いか?坪単価はいくらか?
2020/06/10
皆様こんにちは。
職人バッカの千葉でごさいます。
工場や倉庫などで、重量鉄骨造で、計画した場合、
「在来工法」と「システム建築」のどちらが安くなるかという事を考えてみたいと思います。
調度、約1年前の2019年6月に竣工した工場での具体的なデータがあります。
これは、当初、システム建築で計画をしていたのですが、納期や様々な諸事情があって、
「在来工法」で行う事で具体的に検討した事があります。
参考の工場概要
床面積526.20㎡、建築面積526.20㎡、鉄骨造平屋建て、工場、開発許可あり
在来工法の見積に協力頂いた業者は、普段からシステム建築施工を行ている会社です。
屋根、屋根断熱、外壁、サッシ・オーバースライダー、樋、庇
比較したのは、同じスパン同じ間取りで総工費を比較してみました。
「在来方法」と「システム建築」の直接比較の対象となる項目はBの合計です。
「躯体」、「屋根」、「屋根断熱」、「外壁」、「樋」、「庇」、「サッシ・オーバースライダー
「生産設計」、「諸経費」、「換気扇」の10項目です。
「在来工法」の合計は約3,600万円に対して、
「システム建築」は、約2,200万円です。
その差額は1,400万円で、システム建築の方が断然割安となる結果でした。
鉄骨躯体について
まず、躯体で見てみますと、約520万円の差額があります。
在来工法に比べ、システム建築では、構造体を工学的に言えば、スリムで無駄のない部材の大きさにしている事と、鋼材を大量かつ需要量で圧倒的な安価で提供できていると言えます。
屋根について
システム建築の屋根は、オリジナリティーにあふれています。
正確にいえば、断熱材の充填の仕方に工夫があります。
工場や倉庫の場合、外気温を一定量の熱を遮断する事を要求されます。
屋根に断熱材がないと、屋根裏に結露が発生して、水滴が落ちたりして、生産や物品保管に悪影響がでたりします。
その為、屋根断熱は欠かせない仕様となっていますが、システム建築の場合、金属製の屋根裏に直に断熱材を引き込める仕様が用意されています。
在来工法には、私が調べた限りですと、類似した工法はありません。
その為、折板屋根を二重に葺いてその、中間部に断熱材を充填するのが一般的です。
「在来工法」の場合、システム建築にある屋根裏に直接断熱材を充填する工法がありませんので、
代用として、二重折板葺き工法を採用する事にしました。
二重折板葺き工法では、上と下での屋根があり、結果的には2倍存在する事になります
その為、端部の金物なども2倍となり、結局約150万円ほど差額があり、割高になりした
外壁について
外壁は、「在来」と「システム」共に、サンドイッチパネルなるもので比較してみます。
同仕様品ですから、差額はあまりないものと予測していましたが、約610万円もの差額がありました。
「システム建築」では、外壁に限らず、屋根、サッシ、シャッター、オーバースライダー、換気扇などの使用する製品も限定する事で、その中から選択する事としています。
これによって、多少の選択の自由性は失われますが、限定した分、需要量は増大して、メーカーにも安価な仕入れができていると考えています。
そうして、約610万円ものコストダウンを成功しているようです。
次に注目したいのは、サッシ・オーバースライダーです。
サッシ・オーバースライダーについて
システム建築は、サッシ・オーバースライダー・シャッターが矢鱈に安いと言えます。
在来工法では、鉄骨用サッシは住宅用サッシより割高ですので、住宅用を採用してみました。
当然、システム建築は鉄骨用サッシです。
在来工法のサッシとオーバースライダーの合計金額は約380万円ですが、システム建築は約160万ですので、その価格差は圧倒的です。
在来のオーバースライダーが180万円で、システムのサッシとオーバースライダーの合計額が約160万円ですので、いかに安いかと言えます。
こうして、見ますと、システム建築の圧勝となりました。
システム建築でも、3大メーカーによって、階数や規模で得意分野が明確に分かれています。
しかし、「在来方法」と「システム建築」見積対決では、「システム建築」の、圧倒的な価格力にかわりはありません。
その為、1年前に竣工した工場も無事にシステム建築を採用して、竣工を迎える事ができました。
恐らく、「在来工法」が、価格的に有利となって、割安となる規模は床面積で300㎡未満、軒高6m程度であれば、「システム建築」より割安だと思います。
今回の結果ではシステム建築での総工費試算しますと坪単価は¥545,304でした。
ご拝読ありがとうございました。