無垢材のむずかしさ2
2024/02/04
そんな、小屋も経年劣化で屋根が傷み、外壁のトタンには腐食で穴が開いている。
取り壊しを余儀なくされている。
仲間は、知人の伝手で聞きまわったが、宮大工でない限り、「チップ」にするしかないと云われたそうだ。
この材の価値はもう、プライスレスの時代だ。
購入しようとしても、条件がそろわない事も多い。
だが、一方では、使う場所がなければ、単にお金を払って処分してもらう。
無垢材は、材が大きい為、格納する場所も限られる。
更に、すぐ使えるわけでもない。
まずは乾燥。
乾燥も1、2年では済まない。
使う予定や、見積に計上され、実際に使用が決まっても、すぐには使えない。
この山積みになった材からかき分けて、トラックに乗せる。
運搬も重かったり、長かったりして、ユニックやらトラックやら、人の手も必要となる。
加工場まで、持ち込んで、製材後に諸々の加工がある。
現場でも位置に取り付け。
その後は、養生して、最終的には、隙間や傷や凹みがあれば研磨や加湿補修をして、修復する。
これに塗装する。
無垢材の場合、塗装剤にも相性がある。
檜などは脂っぽいとか、杉はぼそぼそだから、栗や欅は男っぽい杢目だから、ブナや桜は大人しい杢だから「この塗料にしよう」とややこしい。
国産系の天然塗料であれば、のりがいいとか悪いとかで、なおさらだ。
これが、無垢材の一連の作業である。
これが、新建材であれば、手間も付帯経費も発生しない。
シンプルな過程だ。
メーカー直送であれば、発注作業だけ気を付ければ、問題はほとんど発生しない。
手間が省けて、ややこしさは微塵もない。
大半の施主検査でも、新建材は、苦言を言われたことがない。
だだ、新建材は、味気ない。
できれば、やっぱり本物で造ってあげたいという、「設計者のわがままなのかな?」とつぶやいて
完成時に、心に深くて、小さな溝の矛盾があるだけ。