木材「杉」について【その1】
2020/04/28
皆様、こんにちは。
コロナで、色々なお店や企業が苦戦していますね。
当社も、家で引きこもっております。
暇つぶしだと思って、ブログを、気軽に読んでもらえればうれしいです。
今日は杉の話をします。
杉の名前の由来は、「素直な木、真直ぐの木」から、「直木」から、杉と呼ばれるようになった様です。
確かに、杉の木目は、通りがよく、鉋(かんな)かけをしていても、癖が少ない加工性のよさが魅力の一つです。
栗などの広葉樹は、木目の関係から狂いが大きく、割れたり、反ったりして、加工性があまりよくありません。
この点では、杉は人間が思った通りに加工がしやすい木であり、
名前の由来となった事は、やっぱり「大工」が絡んでいるのかと思ったりします。
また立木姿も「直木」を連想できますので、立木姿からかも知れません。
いずれの説でも、「杉」と命名した日本人の観察眼に驚きます。
杉は木材の中でも、日本では馴染み深い木です。
しかし、世界的にみると、意外と杉の木目が似ている「木材」がない事にビックリします。
中国産でも「柳杉」という木材があります。
浙江省など中国南部に生育するスギ科スギ属の木で、秋田杉を植林したものと言われています。
色合いなどは国産の物の風合いは、明らかに違います。
グレードも低く見られ、建築業界では、「柳杉かぁ」と少し、
材料の認識として侮蔑感があります。
ほかにも、「米杉(ベイスギ)」があります。
ベイスギは杉といっても、国産材では、ネズコで、国産の杉とは異なります。
レッドシダーと言います。
杉と共通するのは、鉋を掛けた時のボソボソ感くらいです。
昔の大工の世界では、「杉に始まり、杉に終わる」と呼ばれたそうです。
確かに、独学でかんな掛けをしているとき、鉋(かんな)の特性を知らず、
杉に鉋掛けをしようとして、まったく刃が立たなかった事を思い出します。
しかし、杉は、柔らかい事もあり、本当に加工が簡単にできる材料です。
その分、表面の仕上がりが思い通りに光沢のある上品な仕上を施すのにも、
習得には時間がかかり、難しい材料であるといえます。
柔らかいので、加工している時に、木目に亀裂が入り、欠けてしまう事もよくあります。
ですので、思い通りの加工ができたら一人前という事なのでしょうね。
杉の色は極端で、「赤」と「白」と「黒」があります。
芯の部分に近いものは「黒、赤」であり、皮に近いものは「白」です。
調度、芯材と皮近くの材料が混同した赤と白の混じった材料を「源平材」と呼びます。
源氏と平家が「赤と白」だった事に由来する様です。
若いころから、設計に従事し、図面に材料を指定してきましたが、
水に弱く、腐りやすい杉をどこかで「バカ」にし、指定をなるべくしない様にしていました。
もう、設計に従事して30年以上経ち、
「杉は、いいもんだなぁ」
と、思う様になりました。
杉の印象は、強引でなく、さりげなく、じんわりと、いいところが分ってくる材料なんだなと思うのです。
そのさりげなさは、まるで「そっと傍にいる猫」に似ています。
気づくとそこにいるのです。
本日はこの辺で。
次回も引き続き「杉材」のお話しです。
ご拝読有難うございました。