床の玄昌石とタイルとワックス

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木になる噺し(ブログ)

床の玄昌石とタイルとワックス

2020/03/27

みなさま。こんばんは。

コロナで、自宅に謹慎要請が東京都からあり、どうお過ごしでしょうか。

 

さて、今日は、玄昌石のお話しです。

 

突然ですが、私の自宅に石の間があります。

ほぼ、土間の上の全てが、石材でできています。

 

タイルは、自然素材として扱われていますが、厳密には人造材です。

材質が自然材ですので、自然的な要素を持つので自然素材として扱われるのでしょう。

 

しかし、石は、完全な自然物ですので、本当の自然素材の一つです。

 

ですから、フェイスの凹凸も個性的で、起伏に富み、人が意図した様に平滑さを保障されている物でもありません

 

理由はまだあり、若い頃、設計事務所で修業をしていた時、「石材」はとても高価でした。

図面に描きすぎると師匠によく、怒られました。

結局、塩化ビニールのタイルになり、模造品でエントランスを飾る事を余儀なくされました。

 

そんな事で、石材は、強烈な「憧れの材料」でした。

 

私の自宅の石材は、中国で加工されてきた玄昌石です。

現地で購入してきました。

300×600の長方形でありますが、直角でなく、平行四辺形です。

貼れば当然、目地が均一がになりません。

 

その時の石工さんが、職歴40年の方です。

「角が直角でないから目地が綺麗にいかないけど、いい?」と困った顔。

 

「気にしません。」

 

玄昌石

石材の貼り方にもいろいろあって、眠り目地というものがあります。

 

ほとんど目地を目立たせない目地で、白い大理石などに、採用します。

 

 玄昌石は、少し荒っぽい表情があり、目地の通りなど気になりません。

こんなことから「気にしません」と答えました。

 

玄昌石は、鉱物学的には、「粘板岩」に分類されます。

粘土が圧縮されて石になったものです。

堆積されてできているので、本のページが重なったように石が重ねっています。

表面がペロリと剥がれても、裏の表面は綺麗に平滑状なのです。

 

妻が家のなかに、「蟻」が入ってきて、困るらしく、玄関の玄昌石に、薬をまいていました。

すると、表面がめくれて、はげました。

 

おそらく、科学反応によるものだと思います。

 

玄昌石は、粘土だった為か、硬さは意外と柔らかい。

ダイヤモンドカッターで石を切断していても、御影石より、早く切れます。

カリオストロの城

玄昌石は石材のなかでも群を抜いて、粘りがあるためか、日本でも中国でも硯(すずり)や砥石(といし)にも用いられてきました。

柔らかさと粘りが研ぐという作業に向いているのだと思います。

石を切断していても、他の石と埃がやや違うのです。

なんと表現すればいいか、煙の様な、まとわりつく「ちり」なのです。

 

欧米では、玄昌石をスレート材と呼びます。

 

ルパン三世のカリオストロの城の屋根に使われているのも、この「スレート材」です。

スレート材は、薄く加工できること、割れにくい事から、重ねて屋根材に使用されてきたと思います。

 

ちなみに、コロニアル材は、このスレート材を模倣した人造材です。

コロニアル材の様な人造材は何年かに一度塗装を要しますが、石材のスレート材は当然要りません。

産地で有名なのは、宮城県の登米市の「登米玄昌石」で、蔵の屋根、外壁にもたくさん用いられてきました。

この雰囲気が明治時代でも、昭和の建物でも、レトロですが、少し当時のモダニズムが感じられ、素敵な美観が望めます。

 

海外では、ポルトガル産のスレート材が有名です。

スレート材は、黒や緑が大半ですが、パープル色やこげ茶もあります。薄い色は、見かけません。

 

玄昌石を方形(ほうぎょう:真四角)に加工したものを部屋に対して45°に寝かせて貼りますと、日本らしい空間にも演出できます。

 

玄昌石は、石材の中では、割と軽いほうだと思いますが、壁に貼る場合ですと、一度エマルション剤や、プライマー剤を基材と石材の両方に塗った後でないと剥がれやすいと思います。

 

床と壁の取り合いも注意が必要で、床がコンクリート、壁は石を張る場合ですと、熱伝導率の違いの要因か、よく剥がれます。この列は、変成シリコンなどを粘着剤にする事をお勧めします。

玄昌石は、雨期の結露などの湿気も吸ってくれます。

御影石などより、石材内に湿気を内包して、自然に蒸気を揮発させてくれます。

土間コンに直接石材を張る場合でしたら、厚さが3cm程度の玄昌石は湿気をよく吸ってくれますので、本当におすすめです。

薄いスレート材や玄昌石の販売材をよく見かけますが、薄いと内包できる蒸気量が少なく、かえって、石材その物が剥がれやすいので、注意が必要です。

 

玄昌石をはじめ、粘板岩類は、程よい硬さですので、歩行感も、柔らかです。

石の端部である角の部分も長い間使用していますと、だんだん丸みを帯び、風合いがでます。

タイルにない、やっぱり本物の貫禄が経年変化で感じられると思います。

 

自然物は、人が意図していない答えを用意していて、経年変化は実は、その時間の使用頻度で寛大な表情へと変化してくれます。

ワックスは、ワイルド感より、表面に高級感を感じたい方はおすすめです。

石材用のワックスがホームセンターで購入できます。

大半は樹脂系ですが、よりナチュナルなワックスを望まれる方は、蜜蝋ワックスやエゴマ油もおすすめです。

 

では、今日はこの辺で。

ご拝読有難うございました

 

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