木材「杉」について【その2】
2020/04/30
皆様、こんにちは。
大学生の娘が、東京で一人暮らしをしています。
マンションで缶詰状態で、「もう飽きた」といって、帰ってきました。
皆様はどうお過ごしでしょうか。
さて、前回に引き続き、「杉」のお話しです。
一般的に杉の赤は、「杉赤」と呼びます。
「白」より材料として上等品で取引されています。
これは、芯材が「赤や黒」であり、材木は芯材の方が丈夫であることに起因します。
この原則で言えば、「白材」は皮近くの材料である為、芯材に比べ、腐りやすく、食害に遭いやすいからだと思います。
関西地方では、「杉の赤ぞろえ」といって、豪農や豪商がこぞって、杉の芯材部分ばかり使った、家を建てたようです。
木材全般で言える事ですが、歳を重ねた材料ですと、年輪が緻密で、縞模様が細かくなります。
杉も例外でなく、成長が早かった年輪は通常5mm以上ありますが、歳をとった材料の年輪は2mm以下となり緻密で、少しくすんだ赤色の印象となります。
こういう緻密な材料は通常、狂いが少なく、防虫防食にも強いものです。
緻密な杢目があるものですと、建具や欄間に使われます。
これらの緻密な材料を豊富に柱や梁材に使用する事は、やっぱり贅沢な仕事だったのでしょうね。
杉は脂分が少なく、削った印象ですと、ボソボソ感があります。
塗装の仕上は、エゴマ油や亜麻仁油、蜜蝋ワックスなどを塗布すると光沢も出て、汚れにくく、材料が長持ちします。
エゴマ油などの塗布以前に、朱色の赤弁柄を水と柿渋で混ぜて、塗布すると防虫効果もあります。
日本全国に、杉材の名産地がたくさんありますが、際立っているのが、「屋久杉」です。
「屋久杉」は取引の現場でも別格扱いです。流通量が少なく希少です。
本日は触れない事とし、どこかの回でお話しをします。
杉でいえば、ブランドは「秋田杉、天竜杉、吉野杉、北山杉、立山杉、山武杉」などが有名です。
北山杉は、磨き丸太、絞り丸太が有名で、床柱にも使われます。
秋田杉は、緻密な年輪が印象的で、天井材や、建具材にもよく使われます。
山武杉は、江戸城に使われた事でも有名です。
杉は、戦後、材木不足の為、国策として大量に植林されました。
杉は、他の材木に比べ、手数を掛ければ、大木にもなり、銘木にもなります。
杉の最大の魅力は、その加工性のよさはもちろんですが、
「ほのかな香り」と「赤ちゃんの肌の様なやさしい手触り」です。
社寺建築でも、檜、ヒバ、欅、栗、杉を用いますが、選ばれる順番も最後であり、結局総工費で安く抑えたい場合に杉が選定されます。
杉の出番は雨掛りの少なく、食害に合いにくい場所に用いられます。
こんな事から、杉は社寺建築の場合、代用品的扱いでありレギュラーより代用品の立場に甘んじています。
杉は樹齢が長い大木になりますと、しめ縄が回され、「神木」としてまつられている風景もよく見かけます。
箱根や日光などの旧街道の杉並木なども、日本にはよくある風景です。
樹齢が重なった杉の並木道は、どこか神秘的で、日本古来の風景に思えます。
木洩れ日などは、幻想的で、どうやら日本人を安心させる効果があるのでしょうか。
杉田、上杉、杉山さんなど苗字や地名に
「杉」が多様されているのも、
やっぱり日本では馴染み深い木なのでしょうね。
今日はこの辺で。
ご拝読有難うございました。